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トフメルAの歴史古代ギリシャ時代に愛用されていたラノリンが配合された外傷用軟膏

トフメルの誕生

三宝製薬は1932年(昭和7年)1月、「トフメル本舗」として東京都新宿区百人町に創立され、1939年(昭和14年)12月三宝製薬株式会社に改組、1943年(昭和18年)11月本社を現在の新宿区下落合に移転し、約1世紀を迎えようとしています。

トフメルの誕生

創業者の渡邊久吉は、苦学して入った旧制山形高等学校(現在の山形大学)入学後、花が好きだったことから自分で花屋を始めました。
しかし、その花屋の経営が順調になりだした頃、当時兄が開業(新宿区百人町)していた病院の経営が苦しくなり、花屋を諦め兄の病院を手伝うこととなりました。一年もすると病院の経営も黒字となりましたが、借金の元金を返済するまでには至らず、他の収入を考えました。幸い病院で作っていた外用剤で「いろいろな皮膚症状に効き目がある」と評判だった『赤軟膏』があり、これを「家庭の常備薬」として売り出すことを考えました。
その話を兄にすると「医者がクスリを売るのか!」と反対されましたが、説得の末承諾してもらい、兄の名義で当時の売薬許可をとり、これを〔塗布する〕の「トフ」と〔melt(メルト):固体が熱で溶ける〕の「メル」から「トフメル」と名付けて売り出すこととなりました。

これが『トフメルA』の始まりであり、三宝製薬の歴史の始まりでもあるのです。

当初はリアカーに積んで

初めの頃は、裸の皮膚を露出する浴場ならば、皮膚病や切り傷が目につくからいいだろうと考え浴場を次々と開拓し、新宿から中野方面の浴場組合の会合に出席しては、トフメルを番台で売ってくれるよう働きかけました。半年くらいで百軒ほどの浴場に納める事が出来ましたが、売上としては期待通りには行かず、何とかして薬局へ進出を図りたいと考えました。
しかし当時、薬局との商売が全くの未経験であった渡邊久吉は比較的敷居の低かった薬店を訪れ、トフメルの良さとトフメルを扱うことのメリットを説き、共鳴を得て薬店の取引を増やしていきました。それが評判となり次第に薬局との取引も始まり、また当時薬局で困っていた「乱売」対策として、特約店方式(当時は、近くの薬局には置かない、定価販売の厳守等を約束)を採り、それが次々に信用と評判を呼んで一年ほどでかなりの取引軒数となりました。

戦時中の苦労

人も増え、トフメルの販売も順調になった頃、戦争がいよいよ本格化してきました。
原料資材の購入も困難になり、トフメルの基剤であるラノリンなどは自社で精製し、原材料倉庫は分散させ、戦時体制を整えていきました。しかしその努力の甲斐無く、度重なる空襲でそれも全て灰となってしまいました。そして完全に灰になった本社工場跡地で、まさにゼロからの再出発をしました。
当時の社員の努力で焼け野原から廃材を集め掘っ立て小屋の事務所を作り、防空壕の焼け跡に残っていた製造機器を置き、不完全ながらも何とかトフメルの製造を再開しました。

戦後の復興と決断

戦後の復興と決断

こうしてトフメルの生産も順調になってきた頃、戦時中の統制販売は終わりましたが、自由価格による販売は許されず定価は公定価格が指示されていました。終戦後物価が急速に上昇し、原材料の不足と値上がりで公定価格の維持には非常に苦労しました。
しばらくすると公定価格も廃止される事となりましたが、三宝製薬には統制販売で全国どこの薬局・薬店にも置かれているトフメルや他の製品を戦前の特約店方式に戻すか、あるいはこのままどこの薬局・薬店でも売れるようにするか、その後の三宝製薬の運命を決める重大な決断をしなければならない時期でもありました。
ここで創業者である渡邊久吉は、創業当時、お得意様から信頼を受けた販売方法である特約店方式に戻す決断をして、今日の三宝製薬の土台を作りました。

トフメルAとは

トフメルAとは

ところで、トフメルAとはどういう薬なのでしょうか。
外傷用軟膏と一言で言ってしまえばそれまでですが、効能・効果にはうたえないものの、昔から傷ややけどの治りが早く、しかも跡が残らないと評判で、赤ちゃんのオムツかぶれ、子どものすり傷・きり傷、お母さんの手あれ、お父さんのひげそり後・かかとのひび割れ、お年寄りの床ずれ、やけどなど、まさに赤ちゃんからお年寄りまで家庭に無くてはならない常備薬として現在でも多くの方にご愛用いただいております。

トフメルAの秘密

トフメルAの成分は、主要基剤であるラノリンと酸化亜鉛以外は発売当時のものとかなり変更されています。しかし、トフメルの効き目の秘密は何と言っても軟膏の基となる基剤「ラノリン」にあります。
ラノリンは羊が皮膚と毛を守るために分泌する皮脂で、人の皮脂に近い組成でできています。羊の皮膚から分泌されるラノリンが毎日少しずつ羊毛に付着し、羊毛を刈り取る時期になるとラノリンはベタツクほどたくさん付着しています。羊毛を刈り取ってウールに仕上げる際に副産物として回収される皮脂(ウールグリース)、それがラノリンなのです。

古代ギリシャ時代では、ラノリンは皮膚のシワ防止剤として貴族社会の必需品として重宝されました。「羊飼いの肌は透き通るほどきれいでシワがない」ことから、「ラノリンをつけるとシワにならない」との噂が広まるほどだったのです。
ラノリンは皮膚への浸透性、柔軟性に優れ、傷などに効果があることが知られており、古代ギリシャ時代には既に薬として用いられ、羊を戦場へ連れて行ったとも言われています。このようなことからラノリンは、古くから種々の医薬品や化粧品に重宝され、トフメルの効き目もこのラノリンが大きく関与していると考えられています。

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